流体都市を構築せよ!
-大都市、分裂と共存のカオス的交差路
もはや、「巨大」という言葉をつけるに相応しい都市は、様々な出自からくる異質的な人々が集まって住まう場である。しかし、それだけ統制可能な「秩序」あるいは同質性を樹立しようと権力が恒常的に作動する場でもある。都市計画家たちは、都市に直接「計画」と「構成」の権力を行使し、警察たちは人々と自動車など 「疎通・交通」の流れを統制する。しかし、この全てに先んじて、都市には人々の生が、生の流れがある。そして、彼らの流れを追う「業者」たちもまた存在する。 都市を扱う数々の本のの観点が「都市」の代表を自任したり、資本に対する政治経済学的批判を自任したり、都市に住む人々の生を照らし出す新しい頂点の周りに散らばっているのは、このためである。実際に問題になることは人々の生でありながらも、提示する分析は、都市をひとつの視覚的対象、幾何学的構成物、あるいは(再)開発という資本の論理で見るのみである。私たちはこの三角形の中から抜けださねばならない。
結局、人々の生はこれに立ち向かう「抵抗」と闘争の形式なしには表れることすら難しい。「デザイン・ソウル」と龍山‐ドゥリバン‐明洞の間にあるギャップを想起してほしい。都市の悪名高い騒音とは、自動車の騒音である以前に闘争の騒乱であろう。.私たちが生きる都市とはこのように互いに違なる立場の間の闘争の中で形成されるものに他ならない。
私たちは今回の国際ワークショップ・セミナーを通じて、都市計画の歴史から始まり闘争の中の都市、あるいは民衆たちの生によって構成される都市(ジェイコブス)の問題を検討することになるだろう。それは、高祖岩三郎、彼が体験したことに、ともに対面し討論し、都市と生の問題を根本から思惟し直すために欠かせないことである。ここで私たちが足をつけて生活しているこの都市のど真ん中で、都市の意味と可能性を直視しようと思う。
講師: 高祖岩三郎
今回の国際ワークショップの講師である高祖岩三郎氏は、
移民や外部からの人たちで溢れているニューヨーク、その闘争と対決の現場に立ち分析することで浮かびあがってくる都市の姿を伝える活動家であり評論家です。日本で生まれ、1980年にニューヨークに移住。アーティスト・アシスタント、ビルの管理人、画廊勤務、グラフィックデザイナーなど多様な職業を経て、現在では翻訳家・評論家として日本の雑誌『VOL』の編集委員、「世界産業労働者連盟」ニューヨーク支部所属会員として活動されています。主に、世界変革のための全地球的な組織化の可能性について広範囲な論議をすることに関心がおありです。
主な著書は『ニューヨーク烈伝』(2010[2006])、『流体都市を構築せよ!』(2011近刊[2007])がある。『庭=運動以後』が『少数性の政治学:ブッカージンR1号』(グリーンビー出版)に収録されています。また、柄谷行人の『隠喩としての建築』(1995)、『トランスクリティーク』(2003)などを英語に、デイヴィッド・グレーバーの『アナーキスト人類学のための断章』(2006)日本語に翻訳しています。
準備セミナーテキスト
1. レオナルド・ベネーヴォロ 『近代都市計画の起源(eng. Origins of Modern Town Planning)』
2. 李珍景 『近代的住居空間の誕生』 第6章 住居空間と階級闘争
アンリ・ルフェーブル『空間の生産』 第6章 空間の矛盾から差異の空間へ
3. ル・コルビュジエ 『ユルバニスム(eng. Urbanism) 』 1, 2, 3, 4, 7, 8, 11章
4. ジェイン・ジェイコブス『アメリカ大都市の死と生』 第一部
5. ジェイン・ジェイコブス『アメリカ大都市の死と生』 第二部
6. ジェイン・ジェイコブス『アメリカ大都市の死と生』 第三部
7. ジェイン・ジェイコブス『アメリカ大都市の死と生』 第四部
8. 高祖岩三郎 『ニューヨーク烈伝』 第一部、第二部(1~3章,可能ならば 4章)
9. 高祖岩三郎 『ニューヨーク烈伝』 第三部
10.高祖岩三郎 『ニューヨーク烈伝』 第四部
11. 高祖岩三郎 『流体都市を構築せよ』 第一部
12. 高祖岩三郎 『流体都市を構築せよ』第二部
13. 高祖岩三郎 『流体都市を構築せよ』第三部
日時
セミナー 11月18日開始! 毎週金曜日 7時半
講師招聘 集中講義および討論:2月 中(5日間)
場所: スユノモN 講義室
募集人数: 30名
日程 変更!
サブさんが二月にいらっしゃることになりましたので、
国際ワークショップは11月18日に開始します。